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業界研究マスコミ(出版・広告)への就職評判

 

マスコミ(出版・広告)

概要

さまざまなジャンルの書籍や雑誌を発行するのが出版業界。出版社が作った書籍や雑誌などは、 “取次”といわれる書籍流通の専門会社を通じて、書店に配本される。
広告業界では、「放送」・「新聞」・「出版」・「インターネット」などに出稿する広告を取り扱っている。
出版業界
電子出版市場は拡大するものの出版市場全体は12年連続前年割れ
公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の調査によれば、2016年の書籍・雑誌を合わせた出版物推定販売額は、前年比3.4%減の1兆4,709億円と、12年連続のマイナスとなった。

内訳は、書籍が前年比0.7%減の7,370億円、雑誌は同5.9%減の7,339億円。
書籍は、10年連続のマイナスとなったもののベストセラーが多く微減にとどまったが、雑誌はコミックス単行本の不振もあり19年連続のマイナス。41年ぶりに書籍の売上を下回る結果となった。

一方で、電子出版市場は前年比27.1%増の1,909億円と着実に売上を伸ばしており、電子コミックが同27.1%増の1,460億円、電子書籍(文字もの)が同13.2%増の258億円、電子雑誌が同52.8%増の191億円となった。
拡大が期待される電子書籍市場
アメリカで生まれた電子書籍が、日本にも徐々に浸透しつつある。

電子書籍とは、パソコン、スマートフォン、携帯電話などにダウンロードして読むデジタルデータ書籍のことだが、電子書籍専用端末も各社から登場しており普及に拍車がかかりつつある。

また、最近は紙の書籍と同時に発売される電子書籍も増えていて、読者は気になった本をすぐにその場で購入し読むことができる(場合によっては安価で)。

出版社側にとっては印刷や製本、流通などにかかっていたコストを大幅に削減できるメリットがある一方で、書店や取次業者にとっては電子書籍の普及は死活問題とも言え、普及に向けて解決しなければならない課題もある。

インプレス総合研究所では、「通信事業者」、「出版社」、「電子書籍ストア」、「取次事業者」、「ポータルサイト」、「コンテンツプロバイダー」といった電子書籍関連事業者へのヒアリングや、ユーザーへのアンケートなどを分析し、詳細を「電子書籍ビジネス調査報告書2016」にまとめている。

2016年7月のリリースによれば、2015年度の電子書籍市場規模は前年度比25.1%増の1,584億円、電子雑誌市場規模は同66.9%増の242億円、電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は1,826億円としている。

電子書籍市場では電子コミックが市場を牽引しており、市場の約81%を占めている。2015年度の電子コミック市場は1,277億円で前年度から254億円の増加。また、残りの文芸・実用書・写真集などの分野は308億円で前年度から65億円の増加となった。

また、近年は無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用が拡大している。これらのアプリでは、無料連載でユーザーを集めて、広告収入、有料販売、課金といったいくつかのビジネスモデルを組み合わせて設計されており、2015年度の無料マンガアプリ広告市場は前年度の2.9倍となる41億円。
引き続き市場は拡大するとしており、2016年度も倍増となる85億円を見込んでいる。

今後とも電子書籍自体の認知度の拡大や利便性の向上による利用率の上昇、紙の書籍との同時発売の増加、オリジナルのコンテンツや付加価値のついた電子書籍の販売、セルフパブリッシングの拡大などもあり、堅調に市場は推移すると考えられる。
インプレス総合研究所では、2020年度の電子書籍市場は2015年度の1.9倍の3,000億円程度まで拡大し、電子雑誌市場規模480億円と合わせた電子出版市場は3,480億円程度と予測している。

豆知識

電子書籍の登場で注目される「セルフパブリッシング」
「セルフパブリッシング」とは出版社や編集者を通さず、文字通り自分自身で書籍や雑誌を出版・販売すること。
電子書籍登場以前は、「自費出版」と呼ばれることが多く、自分で書いた小説などを、出版社を通じて書店などで販売するが、100万円単位の費用がかかるといわれていた。

かつては、出版物の販売はほぼ書店に限定されていたが、今ではパソコン、携帯電話、スマートフォンタブレット端末などで自由に購入したり読んだりすることが可能になった。
そのため、自ら執筆した小説やブログ、書き綴ったメルマガなどを「セルフパブリッシング」する人が増えている。

また、アマゾンが運営する、Amazon Kindleストアで電子書籍を出版できるサービス、「KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)」が登場したことも、その動きに拍車をかけている。

出版した書籍がすべて利益に結びつくかどうかは別にして、出版の1つの潮流として注目されている。

業界関連用語

●ブランドムック
ファッションブランドのオリジナル付録付きムック。
2005年から発売が始まり、毎月数点発行されているが、若い女性たちに人気が急上昇したことから、多くの出版社が女性誌にオリジナル付録をつけるのが当たり前になるほどのブームとなっている。
中には100万部を売り上げたものも出ている。

付録はエコバッグ、化粧ポーチ、折り畳み傘、弁当箱、鏡などさまざま。
どんな仕事があるの?
●編集(書籍)
企画を立て、著者に依頼し、原稿の校正などを行う。たいていの場合、編集者1人で1冊を担当する。

●編集(雑誌)
ライター、カメラマン、デザイナーなどと連携を取り、雑誌のページを作る。自ら取材・執筆することもある。

●進行管理
印刷会社とのスケジュールの交渉や調整、出版物ができあがるまでの進行スケジュールを管理する。

●広告営業
雑誌に掲載する広告を集めるため、スポンサー企業へのセールスを行う。最近はタイアップ記事も多い。

広告業界

ゆるやかな景気拡大の影響もあり日本の総広告費は5年連続で前年実績を上回る
大手広告代理店の電通は2017年2月に「2016年日本の広告費」を発表。
2016年の日本の総広告費は、ゆるやかな景気拡大に伴って増加し、前年比1.9%増の6兆2,880億円で5年連続のプラス成長となったが、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスコミ四媒体広告費は前年比0.4%減の2兆8,596億円でマイナスとなった。

テレビメディア広告(地上波テレビ+衛星メディア関連)は、「リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピック」や「2018FIFAワールドカップロシア アジア最終予選」などのスポーツ番組があったことや、スポット広告が上半期に大きく伸長したこともあって、前年比1.7%増の1兆9,657億円。
ラジオ広告も年間を通して好調に推移し同2.5%増の1,285億円とプラスになった。

一方で、新聞広告は年間を通して減少傾向にあり同4.4%減の5,431億円。推定販売金額が12年連続で減少するなど引き続き厳しい環境下にある雑誌広告は同9.0%減の2,223億円となった。
そんななか、定額制読み放題サービスなどの電子雑誌市場は同27.1%増と拡大しており、雑誌のあり方や読まれ方そのものが変化してきていることがうかがえる。

なお、マスコミ四媒体広告制作費(衛星メディア関連を除く)は前年比0.2%減の3,061億円となった(広告制作費は、新聞・雑誌・ラジオ・地上波テレビの各広告費に含まれている)。
広告費のシフトが続く。インターネット広告媒体費は初の1兆円超え
インターネット広告費(媒体費+広告制作費)は前年比13.0%増の1兆3,100億円。うち、インターネット広告媒体費は同12.9%増の1兆378億円と初めて1兆円を超えた。なかでも伸び率が高いのが運用型広告(*1)への出稿で、同18.6%増の7,383億円とインターネット広告の多くが運用型広告となっている。

広告主の多くがデータやテクノロジーを重視していることや、高機能化によってリーチやブランディングなどの役割もカバーし始めたことなどが好調な理由としている。

また、広告主によるデータ・マネジメント・プラットフォーム(*2)活用ニーズの高まりとともに、運用型広告がそのニーズに応える手法として進化しながら、現在のネット広告市場全体を牽引しているとも指摘している。

*1 広告主が広告枠を買い取って広告を掲載する純広告に対して、1回の広告表示に0.1円、あるいは1回のクリックに1円といった具合に入札を行うことで出稿する広告が運用型広告。入札によって広告枠の金額が変動することが特徴。いつでもリアルタイムに入札額、予算、広告、配信量、配信地域、配信期間、ターゲティングなどを変更できる。商品を記事コンテンツとして掲載するタイアップ広告、サイト内で広告主の商品を紹介し一定の成果があった場合に報酬を受け取れるアフィリエイト広告は運用型広告には含まれない。

*2 広告主の自社サイトのログデータや、インターネット上のさまざまなサーバーに蓄積されるビッグデータなどと連携して、広告配信の最適化を実現するデータ管理・配信システムのこと。
21業種中6業種が前年を上回る
業種別にみると、「精密機器・事務用品」(前年比109.7%、腕時計や万年筆などが増加)、「情報・通信」(同105.1%、オンラインゲーム、オンラインショップなどが増加)、「エネルギー・素材・機械」(同104.1%、ガス会社や電力会社などが増加)、「食品」(同102.7%、通販系サプリメントや健康食品などが増加)、「交通・レジャー」(同102.2%、会員制スポーツクラブやレジャーランド・テーマパークなどが増加)、「外食・各種サービス」(同100.9%、飲食業、宅配・引越サービスなどが増加)と、全体では21業種中6業種で広告が増加となった。

一方で、「趣味・スポーツ用品」(前年比84.5%、オーディオソフト、人気キャラクター系玩具などが減少)、「自動車・関連品」(同89.0%、軽自動車、セダン、2BOXなどが減少)、「飲料・嗜好品」(同91.8%、缶コーヒー、第3のビールなどが減少)、「家電・AV機器」(同91.9%、コーヒーメーカー、空気清浄機、液晶テレビなどが減少)、「家庭用品」(同92.7%、機能性マットレス、家具、機能性フライパン・鍋などが減少)などと、21業種中15業種で広告が減少した。

2014年は14業種で広告が増加、7業種で減少だったが、2015年は増加業種数と減少業種数が逆転、全般的に経済環境の先行き不透明感から出稿を手控える動きが広がったようだ。

豆知識

「3Bの法則」と「カリギュラ効果
広告や記事などの注目率や閲読率を高めるのに効果的な手段として有名なのが「3Bの法則」と「カリギュラ効果」。
「3Bの法則」とは、広告などに「Beauty:美女」・「Baby:赤ちゃん」・「Beast:動物」を使うと目を引きやすく、また好感を持たれやすいという法則。

一方の「カリギュラ効果」とは、情報の閲覧や接触を禁止されると、かえって見たくなるという心理のこと。
ローマ皇帝カリギュラ(カリグラ)をテーマにしたアメリカ・イタリア合作映画「カリギュラ」の内容があまりにも過激なため、各地で上映禁止になり、かえって話題になったことにちなんでいる。
顔などにあえてモザイクをかける、雑誌の袋とじ、「本当に興味がある人以外は買わないでください」などのキャッチコピーも、「カリギュラ効果」を狙ったものだ。

業界関連用語

●ティザーサイト
tease(閲覧者を焦らす)という言葉のとおり、情報を小出しにして詳細を知らせず、見た人に好奇心や興味を抱かせる広告の手法を取り入れたサイト。一定期間が過ぎると種明かしされる。主として新作のゲームソフトやデジタル製品、パソコン関連製品などに開設されることが多い。

ステルスマーケティングステマ
消費者に広告や宣伝であることを気付かれないように行うマーケティングのこと。その手法や規模はさまざまで、なかには組織だって大量の人員を動員して行われたことや、架空の評論家を仕立てて自社の商品を絶賛させるということもあった。近年はブログやインターネット上の口コミサイトに書き込まれた情報が、実は広告宣伝だったという例もある。

どんな仕事があるの?

●営業
クライアント(広告主)との連絡を担当。仕事の受注、スタッフ編成、制作全体の管理を行う、プロジェクトリーダー的存在。

●プランナー
広告の企画から関わり、その制作全体を統括する。営業と協力して指揮をとるが、こちらはよりクリエイティブ(制作現場)に密着した部分を受け持つ。

●メディア
テレビ、新聞、雑誌のメディアや交通広告、屋外看板などの広告枠を買い付ける。メディアごとの広告効果なども調査・分析する。

マーケティング
クライアント企業やその商品に関する調査を行い、広告戦略を立てる。

●コピーライター
その広告の内容をもっともよく伝え、もっとも人々にアピールするコピーを考案する。

●グラフィックデザイナー
ポスターや雑誌掲載の広告など、グラフィック広告に関するデザインを担当する。アートディレクターになると広告の立案、カメラマンやモデルの選定まで任される。