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鉄道・航空業界の就職

 

[業界研究] 鉄道・航空


概要

鉄道や路線を維持管理し、「人」や「物」を運ぶサービスを行っているのが鉄道業界。沿線でオフィスビルや商業施設、住宅エリアなどの開発も行っている。航空機によって「人」や「物」を国内外に運ぶサービスを行っているのが航空業界。
鉄道・航空業界

鉄道法の区分によれば、鉄道事業者には第一種、第二種、第三種があり、ほとんどの事業者は鉄道施設一式を持ち、列車の運行も行う第一種鉄道事業者である。

第二種鉄道事業者は、自らが所有する線路以外の線路を使用して列車の運行を行う事業者、第三種鉄道事業者は、線路を第一種鉄道事業者に譲渡する目的で敷設する事業や、線路を敷設して第二種鉄道事業者に使用させる事業を行っている。

国内では、国鉄分割民営化によって発足したJR各社、主に都市圏を中心とする私鉄や地下鉄、民間企業と地方公共団体の共同出資による第三セクター鉄道などがある。

航空業界は、ANA全日本空輸)とJAL日本航空)の2強体制が確立しているが、近年では、従来は航空運賃に含まれていた機内食や手荷物預かり料を有料化することで低運賃を実現させる航空会社も現れている。

LCC(Low Cost Carrier=格安航空会社)と呼ばれるこの形態は、海外のいくつかの国では航空マーケット3割前後のシェア(提供座席数ベース)を占めるともいわれており、今後の航空業界に大きな影響を与えることは間違いなさそうだ。

多角化で堅実な成長を目指す鉄道業界。鉄道インフラの輸出が鍵
鉄道事業者の本業である“運輸業”は、緩やかな景気回復の影響もあって、近年の各社の業績は横ばいや増益といったものが多い。

ただし、収益の柱となる運賃設定は、国土交通大臣の認可が必要なこともあり、状況にあわせて機動的に運賃設定を変えることができない。
そのため、物価や景気の変動に合わせて収益が大きく変動する可能性がある。

そんなこともあり、鉄道各社では、沿線での不動産開発、百貨店・スーパーの運営、ホテル・観光事業、食品・外食、バス・タクシーなど、古くから積極的に多角化に取組んでいる。

2014年は、日本一高いビルとなる「あべのハルカス」の開業を筆頭に、各地で大規模な商業エリアの開発があり、さらなる市場の回復が期待されている。
また、多角化に加えて、新興国での鉄道ビジネスへの参入は成長の大きな鍵と見られている。
インバウンドの拡大で引き続き堅調な鉄道事業だがニーズにあった多角化が重要
国内的には少子化に加えて、飛行機や自動車など他の競争も激化しており、中長期的には、乗降客の増加を見込むのは難しい状況といえるが、訪日外国人増加によるインバウンドの拡大は各社の営業収益にとっては大きなプラス要因となっている。

また、多角化によるいわゆる駅ナカビジネスや、オフィス、ホテルなど運輸以外の事業の比率が高まっており、これらの事業の成否は会社の収益に大きく影響を与える規模になっている。

JR東日本の2017年3月期の決算短信によれば、連結営業収益(連結売上)は前期比0.5%増の2兆8,808億円。
セグメント別では、「運輸業」の連結営業収益が前期比0.3%増の1兆9.598億円(セグメント間の内部売上高または振替高を含まず。以下同様)と大半を占めるが、「運輸業」以外の「駅スペース活用事業」、「ショッピング・オフィス事業」などの合計は9,210億円あり、同社の収益を支える大きな柱であることは間違いない。

2016年度については工事による閉店があり「駅スペース活用事業」は前年比0.1%減の3,996億円となったが、JR新宿ミライナタワーやエスパル仙台東館の開業もあり、ショッピング・オフィス事業」は同4.6%増の2,676億円と躍進し、営業収益増に貢献している。

また、中期計画である2020年3月期には、「運輸業」の営業収益で2兆280億円、「運輸業」以外の事業の営業収益で9,930億円を目指している。

乗降客の多い駅では、既存の商業施設や路面店とは異なる圧倒的な人の行き来や、幅広い層の人が通行するという点が特徴だ。立地によって、その駅を利用する人の姿は大きく異なる。それぞれの駅が持つ特性を活かした、それぞれの駅にあった魅力的な企画や多角化が求められている。
訪日客の増加はプラス要因だが燃料価格や為替の影響を大きく受ける航空業界
航空業界はいわゆるリーマンショックの影響で業績が大きく落ち込んだ。
日本の航空業界を牽引してきた日本航空は、2010年に会社更生法の適用を申請し破産に陥ったが、その後、不採算路線の廃止や大幅なリストラを断行するなどして、2012年に再上場を果たしたことは記憶に新しい。

業界全体の売上は、2010年を底に回復傾向にある。日本航空2017年3月期のグループ連結売上高は前期比3.6%減の1兆2,890億円、営業利益は同18.6%減の1.703億円となった。
ホノルル線やバンコク線の増便や他の航空会社との提携によるネットワークの拡充、サービス面での向上に努めたが、燃料サーチャージ収入の減収や円高の影響もあり、国際旅客・国内旅客ともにマイナスとなった。

2018年3月期の業績予想は、連結売上高は前期比3.9%増の1兆3,390億円ながら、燃料費の増加、エンジンなどの整備の増加、新機材導入による経費の増加、旅客基幹システムの全面刷新に伴う諸費用の増加を見込んでいるため、営業利益は同16.6%減の1,420億円としている。

一方、ANAホールディングスの2017年3月期の業績は、日本航空同様に燃料サーチャージの減収や為替の影響を受けて連結売上高は前期比1.4%減の1兆7,653億円となったものの、経費の抑制に努めたなどが奏功し営業利益は同6.7%増の1,455億円となった。
2018年3月期については、連結売上高は前期比8.2%増の1兆9,100億円、営業利益は同3.1%増の1,500億円を見込んでいる。

航空業界は燃料価格や為替の変動によって収益が大きく変化するだけでなく、複数のLCCの参入や日本に乗り入れる海外の航空会社との競争も激化している。

また、アメリカでは景気回復の動きが見られるが、欧州や中国では経済の先行きに不透明感もあり、引き続きサービスの向上とともに燃費のよい機体の導入や、徹底的な費用効率化の取組みを行っている。
さらなる発着枠の増加で首都圏空港の機能強化
発着枠の拡大は航空会社にとって大きなビジネスチャンス。

都心へのアクセスにすぐれる羽田空港の拡張にともない、2014年3月に、出発・到着をあわせて国際線42便84回分が増枠となった(年間で約3万便)。
フライトプランを見ると、今回の増枠で、東南アジアやヨーロッパ方面へのフライトが大幅に拡大している。

なお、国内航空会社向けには16枠の配分があったが、ANAが11枠、JALが5枠となった。

初めての“トランジットホテル”(入国手続きなしで宿泊できるホテル)のオープンもあり、国際空港としての羽田空港の今後も見逃せない。

また、2016年4月には羽田空港日米路線の発着枠2枠(昼間・深夜1枠ずつ)がANAに配分、これまで早朝・深夜の時間帯だった配分済みの発着枠も昼間の時間帯に移行され、日米路線の利便性も向上した。

さらに、増加する外国人訪日客の受け入れ態勢の拡充、2020年の東京オリンピックパラリンピックの円滑な開催、国際都市としての競争力の強化といった目的もあり、政府では羽田空港や成田空港の年間発着枠を2020年時点で最大7.9万回増やす目標を掲げている。
国産技術が生んだオリジナルジェット
大型の旅客機の部品は数百万点に及ぶと言われており、航空機業界は、機体メーカーと多数の部品・材料メーカー、商社などから構成されている。

日本のメーカーは、素材技術や構造設計では世界でもトップレベルあると言われ、航空機製造にも深く関わってきた。
世界でも機体を製造できるメーカーはそれほど多くない中、日本メーカーによるMRJホンダジェットといった自社開発の中小型旅客機の開発が進んでいる。

ホンダジェットは、2015年12月8日(米国東部時間)に米国連邦航空局(FAA)から型式証明を取得。
2015年12月23日(同)には、顧客への引渡しを開始している。

一方で、MRJは2015年11月11日に初飛行、機体や操縦系統、ソフトウエアなどの改修を行いつつ、飛行テストを繰り返している。すでに400機以上の受注を獲得しているが、残念ながら納期は再三再四遅れており、現状では初号機の納入時期を2020年半ばとしている。


豆知識

世界の航空会社に広がる航空連合(アライアンス)
航空連合とは、世界的規模の航空会社間の連合組織のこと。同じグループの航空会社によるコードシェア便(共同運航便)の運行、チェックインカウンターやラウンジの交互利用、マイレージプログラムの相互提携など利用者の利便性を増すサービスを提供することで、集客の向上を目指している。

世界的には、「スターアライアンス」、「ワンワールド」、「スカイチーム」の3つの有力連合がある。

スターアライアンス」はANAルフトハンザドイツ航空ユナイテッド航空などが、「ワンワールド」はJAL・ブリティッシュエアウェイズ・アメリカン航空などが、「スカイチーム」には、デルタ航空エールフランス航空などが加盟している。

なお、成田空港ではターミナルごとに航空連合が異なっている。
北ウイングは「スカイチーム」、南ウイングは「スターアライアンス」、第2ターミナルは「ワンワールド」となっており、乗り継ぎやラウンジの利用などで利用者の利便性が図られている。
業界関連用語
●クルーズトレイン「ななつ星in九州
JR九州が運行を開始した豪華寝台列車で、九州各地をめぐり、自然・食・歴史文化・パワースポット・人情・列車といった九州の主な7つの観光素材を楽しむことができるという。

車両編成は、1号車がラウンジ車で2号車が食堂車、3号車から7号車までが客車となっている。
客室は14室のみで、すべて贅と美を施したスイートルーム。最高級のDXスイートルームを利用した3泊4日の旅では100万円を超えるが、発売以来大人気が続いており申込が殺到している。

さらにJR九州に続けとばかりに、JR西日本は「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレス みずかぜ)」を、JR東日本は「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」を運行。いずれも大人気となっている。


リニア中央新幹線
最高時速505kmのリニアモーターカー超電導磁気浮上式)によって、東京-名古屋-大阪を約1時間で結ぶ鉄道整備計画。

まずは、2014年末に名古屋駅と品川駅で資材置き場などを作る準備工事が開始。本線の工事は、2015年12月18日に最難関と言われている南アルプストンネルからスタートしている。

総工費(2014年10月時点)は5兆5,000億円とされ、東京(品川駅)から名古屋間を2027年に先行開業する予定だ。
ちなみに、東京と名古屋間約286kmのうち86%をトンネルが占める見込み。


●トレインホステル
株式会社R.projectが運営する宿泊施設で、運行廃止となった寝台特急北斗星」で実際に使われていた2段ベッドなどの実車部品を再利用しているのが特徴。
JR馬喰町駅直結という都心の好立地にありながら、1泊2,000円台から利用できるとあって、鉄道ファンはもとより、ちょっと変わった宿泊体験を求める旅行好きの間で話題となっている。


どんな仕事があるの?

●客室乗務員
飛行機のキャビン(客室)に常務。乗客の安全を確保し、サービスを提供する。豪華客船や新幹線、私鉄の特急電車などにも独自の乗務員がいる。

航空整備士
航空機体の点検・整備を行う。部品の磨耗や老朽化、故障に常に細心の注意を払い、機体を安全な状態に保つ。

●運輸(鉄道)
駅員業務、車掌業務、運転士業務(要国家資格)を行う。

●技術(鉄道)
保線業務、電気・通信設備の保守業務、鉄道車両の整備などを行う。
流システムを開発する。