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「第二新卒」で転職したい人に厳しい現実

みなさんは「第二新卒」という言葉をご存じですか? 明確な定義はありませんが「新卒で入社して3年未満の求職者」という意味あいで定着がすすんでいます。4年制大学卒業から考えると25~26歳ぐらいで転職活動をしている求職者で、

・短期間でも社会人経験がある→イチから育成する手間が少ない人材

・ただし、即戦力を期待してはいけない→あくまでポテンシャル人材

といった感じでしょうか。

現在は第二新卒向けの企業の求人も増えて、新たな転職市場が形成された状態ともいえます。ただ、今後も続くのか。あるいは、一時的なものなのか。第二新卒の転職動向について、みなさんと考えていきたいと思います。

第二新卒はかけがえのない存在

まずは求人の現状ですが、第二新卒の採用に熱心な企業が増えています。目的は、新卒採用で採用予定数に達しなかった分や、新卒で採用した人材の退職者を補うこと。

もはや新卒採用の求人難は慢性的な状況となりつつあります。リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は来年度以降も高止まりの見込み。採用予定の人数を確保するのは至難の業となっています。

加えて、苦労して採用した人材が入社1年以内に1割以上、3年以内に3割以上が退職してしまう状況が続いていることが、厚労省の調査でも明らかになっています。

企業が若手人材を確保するため、新卒採用に続く手段を何とか探したい状況であり、その点、第二新卒は大事な存在ともいえます。

ちなみに採用方法は人物評価や社風に合うか? など新卒対象とほぼ同様の点を重視する企業が多くなっています。マイナビの調査でも約4割の企業が新卒採用と同じ採用プロセスにのせて実施しているとのこと。

入社後は新卒同期と同じ人事キャリアで取り扱われるケースも多く、うまく活用できれば2度目の就活機会(学生時代の就職活動のやり直し)を得ることになります。こうして若手人材が仕事探しの機会を増やせることは望ましいことですが、求職者たちはどのように第二新卒の転職に向き合っているのでしょうか?

就活が納得いなかった人の「リベンジ熱」

まずは求職者における成功ケースを紹介します。取材したGさんは中堅広告代理店に新卒で入社。ただ、第1希望であった大手広告代理店に最終面接で落ちたことが内心ひっかかったままで仕事をしていました。現在の職場環境に大きな不満はないものの、

「最終面接で、自分をしっかりアピールできなかった気がする。悔いがあり、もう一度機会が欲しい」

と思っていました。すると、求人サイトで悔いが残る「あの会社」が第二新卒で求人を行っていたのです。ならば、ぜひともエントリーしてみよう……とサイトから応募。そして、見事内定を得て、学生時代の第1希望である会社に転職が実現しました。

Gさんのように第二新卒の転職を目指す人がよく口にするキーワードが「リベンジ」。新卒での就職活動が望んだようにならず、不満や不完全燃焼の気持ちがあり、「やり直したい」との気持ちがあるようです。

世間で、この「リベンジ熱」が高まる要因となったのが、2回の就職氷河期といわれています。1回目の氷河期はITバブル後の2000年〜2002年前後。そして、2回目の氷河期は2008年前後のリーマンショックといわれています。

この2つの氷河期の時期は、企業が新卒採用を控えていたこともあり、不完全燃焼感を抱える人を多数生みだしました。ところが、景気が回復すると急激な人手不足になり、求人ニーズが高まりました。そんななか、自分が入社した会社の職場環境は残業が多いとか、給料が少ないとか、尊敬できる上司がいないなど不満があると、「リベンジを」との思いをもつ人もいるかもしれません。

当方もリクルート在籍時代に、第1回目の就職氷河期世代が第二新卒としてリベンジを行う状況に遭遇しました。大企業が新卒採用を抑制しすぎた反動で、業績が回復すると大幅な人手不足に陥りました。そこで人材紹介部門には「100人単位で採用したい」という荒っぽい求人がありました。その求人に対して応募した第二新卒の対象となる若手人材が続々と転職していきました。

時期的には2004年ごろ。第二新卒の転職市場が世間で初めて認知された時期かもしれません。あれから景気が悪くなると第二新卒の求人は減り、景気が戻ると増えることを繰り返しています。

そして、現在は再び、第二新卒の求人が増えている時期。第二新卒での転職は成功の確率が高いと謳う転職エージェントのメッセージや第二新卒を歓迎する求人が、ネット上などで多数見られます。

第二新卒での転職は簡単ではない

ところがリベンジの成就は簡単ではないようです。たとえば、中堅商社に新卒で入社したSさんは、就職活動で第1希望であった大手総合商社への転職を希望して活動を開始。転職サイトを探したのですが、希望する会社の求人は見つけることができません。そこで、転職エージェントにエントリーしてキャリアアドバイザーと面談。希望を伝えたのですが、

「あなたの希望する会社の求人はありません。それよりも、ベンチャー企業に転職する気はありませんか?」

と本人の意向とは違う会社を続々と紹介されてしまいました。その後、活動は停滞して、現在はあきらめてしまったようです。同じように意気揚々と、今なら学生時代に入社できなかった会社に転職できるかも……と転職活動に入りながら実現できなかった話をよく聞きます。

その理由として考えられることは大きく2つ。1つめは第二新卒を積極的に採用している会社がまだ限られていること。もし新卒で十分採用しきれなかった場合の最終手段としてとらえており、よほど足りないということにならないと、採用しようという決断に至らない企業はまだたくさんあります。

2つめとして第二新卒を活用するのは新興系の企業が中心となっていること。リベンジ対象にしたい大企業、有名企業は第二新卒を募集しておらず、応募できないというケースが多々あります。当方が知る範囲では、2005年あたりにメガバンクや大手電機メーカーが第二新卒を大量採用した時期に転職活動していた第二新卒組で

地方銀行に入行しましたが、転職活動してメガバンクから内定が出ました。リベンジを実現しました」

と喜ぶ声を聞いたぐらいです。

このように第二新卒での転職は簡単ではありません。ならば、どうしたらいいのか? リベンジとは過去ではなく未来志向で考えるべきなのかもしれません。

自分を活かせる会社を幅広く探す

学生時代に落ちた大企業よりも、(わずかながらの)社会人経験からみえてきた「自分を活かせる場所=中堅企業」を探し、転職に挑戦するのです。

例えば、知名度はないけど世界シェアの高い製品を開発して社会的価値の高いサービスを提供している製造業や、地方にある伝統的な企業など学生時代には気が付かなかった業種、業界で「幅広く」転職先を探すのです。

取材した茨城県に本社を置く創業100年を超える老舗菓子製造業の会社は、新社長が就任したことをきっかけに現在を「第二の創業期」と定義。これまで、地元中心に販売していましたが、東京向けビジネスを行うことを決定。そこで新たな商品の開発やマーケティングを行う必要が出て、その役割を担う人材を第二新卒で採用することにしました。大企業の同業では経験できない仕事を若くしてできるチャンスではないでしょうか?

あるいは、静岡県にある中堅の家具メーカー。アジアで高い評価を受けているデザイン性の高い商品をもっており、さらなる海外展開をすることになり、そのプロジェクトメンバーとして第二新卒の採用を実施。語学力がなくてもやる気があれば…という海外赴任を希望する人には希望にあふれた職場です。大企業への転職はブランドを得ることで満足するかもしれませんが、中堅企業でやりがいを得て、リベンジを実現してみてはどうでしょうか?

もちろん、自分を活かせる会社を幅広く探すのは簡単ではありません。時間をかけて、自分のやりたいこと、やれることの棚卸や業種・業界研究をする必要があります。こうした活動に関して、サポートしてくれる機関も徐々に増えています。たとえば、第二新卒の転職に関して長時間のキャリアカウンセリングを行うベンチャー企業のUZUZや「東京都」が設置した東京しごとセンターのように既卒者、第二新卒専門の行政による転職支援サービスなど。こうしたサービスもうまく使うとよいでしょう。

さて最後に、第二新卒の転職を増やすことは、日本政府が目指す「働き方改革」のテーマの1つ「多様な採用機会の提供」につながると考えます。その実態に継続的に注目して、推進するための環境整備はすすめていくべきではないでしょうか。

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