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中間層世帯の経済的余裕はどこも変わらない?

東京の中間層世帯の経済的余裕が47都道府県で最下位に沈んでいる。家賃や長時間をかけた通勤に伴うコストなどの負担が重く、娯楽などに回せる支出が少ないためだ。

国土交通省総務省の全国消費実態調査をもとに47都道府県の2人以上の勤労世帯の中間層(上位40~60%)の経済的豊かさを算出した。可処分所得から食費や住居費、通勤時間がなければできたはずの生産活動の価値(機会費用)を差し引くと、娯楽などにまわせる金額は三重県がトップで1世帯あたり月23万9千円余り、東京都は最下位で約13万5千円だった。(文末には全都道府県データを掲載)


東京の1平方メートルあたりの家賃は2600円で全国平均の2倍を超す。通勤時間や出勤日数などから算出した都道府県別の通勤の機会費用も東京は月5万8千円とトップで全国平均の2倍近い。

新型コロナウイルス禍で広がったテレワークが定着すれば、通勤コストが下がり、東京の指標が上昇する可能性もある。またテレワークなどをきっかけにした地方移住も日本全体の経済的な豊かさを底上げする手段になる。

新型コロナ禍で地方移住への関心は高まっている。首都圏在住者の4割は、ほぼ完全にテレワーク勤務が可能なら移住を検討するとの調査もある。総務省によると、20年の東京から転出した人口は前年比4.7%増で比較可能な14年以降最大となった。

もっとも足元で東京から転出した人の移住先は神奈川や埼玉などの首都圏が大半。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏は「いまは地方から東京への移住が足踏みをしているだけ。感染が収束したら東京への流入が揺り戻す可能性がある」と指摘する。

職業や賃金の魅力が乏しければ地方への移住は進みにくい。中間層の経済的な豊かさを底上げするには、本社機能の東京から地方への移転やテレワーク環境の一層の加速が必要になりそうだ。