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農林・水産

 

[業界研究] 農林・水産

概要

農林・水産は、生活に不可欠な食料や住居に欠かせない木材の供給だけでなく、国土の保全、伝統や文化の継承、美しい自然環境の提供といったさまざまな役割を担っている業界である。
近年は、1次産業としての農林・水産でなく、食品加工・流通までを一体的に捉え付加価値を創造する「6次産業化」(1次+2次+3次)が推進されている。

農林・水産業

私たちの生活に密接に関係している「食」の業界

人間の生きる源である「食」を支える農林・水産業界は、原材料や食糧などの最も基礎的な生産物の収穫と採取に関わっている。

具体的には、農家や漁師、畜産農家などから成り、私たちの生活を支える基盤であり、生活に密接に関連した業界である。

また、人体に大きく影響を与え、製品として生ものを扱う「食」は、効率的で安全な生産システムを目指すことが要される。
最近は飼料工業の発達によって農業や漁業の在り方が変わってきており、たとえば漁業は、以前は“獲る”ことが主だったが、養殖用飼料が開発、供給されるようになったことで、少しずつ“作り出す”漁業の比重が増えている。
世界の食糧需給関係の不安や生産者の高齢化が問題視されている
食糧を輸出する立場にあった中国やインド、タイなどの東・東南アジア地域の国々が急成長、それに伴う人口の増加があり、輸入国に変わるなど、近年、世界の食糧需給関係が変わりつつある。

食糧自給率が低い日本は、食糧の多くをアメリカからの輸入に頼っている。輸入先国の輸出計画に影響を受けやすくなっていることから、国際交流を進めて各国と良好な関係を築き、輸入先の多角化を図ることが、より一層必要とされている。

また、農林水産業では高齢化と後継者の確保が課題となっている。実態は深刻で、農林水産省の「農林水産基本データ」によれば、2016年の農業就業者数は192.2万人で前年より17万人以上も減少していて、うち65歳以上は125.4万人(全体の65.2%)。漁業就業者数は16.0万人(前年比0.7万人減)で、うち5.9万人が65歳以上(全体の36.9%)となっている。
世界的な食料価格高騰の動き
FAO(国連食糧農業機関)が毎月発表する食料価格指数は、2002年~2004年を100として、食肉・乳製品・穀物・植物油・砂糖の5種類の国際取引価格を元に算出される指数。
食料の生産量や消費量の増減を世界規模で見ることができる指標として注目されている。

2006年までは毎年10ポイント程度の上昇であったが、2007年から急上昇し、2008年には基準値の倍となる200ポイントを超えた。

2009年・2010年は、200ポイントを下回る月もあったが、2010年後半に急上昇し再び200ポイントを突破。

2011年2月には過去最高となる240.1ポイントをつけ、年間でも229.9ポイントとなった。

その後は、2012年が213.3ポイント、2013年が209.8ポイント、2014年は201.8ポイントと徐々に下落傾向にはあるが、依然高値でとどまっていた。

しかし、2015年は164.0ポイントに下落。なかでも食肉や乳製品、穀物価格が大きく下がっており、米国における牛肉の需要減やEUの豚肉増産による価格低下、豊作にともなうとうもろこし価格の低下などが理由とされている。

2016年も当初は150ポイント前後で安定していたが、春頃から上昇を始め、9月には170ポイントを突破、2017年に入ってからも、1月174.6ポイント、2月175.8ポイント、3月171.0ポイントとなっている。ポイントが上がった理由としては、砂糖と乳製品の価格の上昇が考えられる。砂糖は2016年当初は210ポイント台だったが、9月には300ポイントを超えて上昇、おなじく2016年当初は130ポイント前後だった乳製品は夏頃から上昇し、12月には190ポイントを突破している。こうした指数は、国際情勢や気候の変化、紛争の勃発などをきっかけに大きく変動するので注意が必要だ。

(*)FAO世界食料価格指数とは、FAOが毎月発表する、世界の食料価格の指標を示す。2002年~2004年=100として、国際取引価格から算出される。一般に食料の生産量や消費量の増減を世界規模で見る指標とされる。

 

豆知識

ウナギが食べられなくなる!? 絶滅危惧種となったニホンウナギ
日本・台湾・中国・韓国など東アジアに広く分布するニホンウナギ
国内では、古くから蒲焼などとして食されており、毎年「土用の丑の日」には、百貨店やスーパー、コンビニ、外食店などでウナギ商戦が盛り上がっていることはご存知のとおり。

ウナギは、天然のシラスウナギ(ウナギの稚魚で、近年は価格高騰もあり“白いダイヤ”と呼ばれている)を漁獲して養殖しているが、ピーク時国内で200トン以上あったシラスウナギの漁獲量が、近年は不漁が続き、いまでは10数トンまで激減している。
そのため、2014年には世界の科学者らで組織する国際自然保護連合(IUCN)が、「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」とされる「絶滅危惧IB類」に指定している。

なお、「絶滅危惧IB類」に指定されたことによる法的な拘束力はないが、資源量の回復が見込めなければ将来的に輸出入が規制される可能性もあり、積極的な保護活動に結び付けていくことは重要だ。
「受精卵を人工的に孵化し、成魚のウナギに育成。オスとメスからそれぞれ精子と卵を採取し人工授精、再び受精卵を人工的に孵化する」、というウナギの完全養殖の実験にはすでに成功している。実用化までの道のりはまだ遠いといわれているが、その進捗状況には、熱い視線と期待が注がれている。

業界関連用語

●TPP(環太平洋戦略的経済連携協定
TPP とは、Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement (単にTrans-Pacific Partnershipとも)の略。

太平洋を取り囲む国々が、モノやサービスなどの取引、投資などを行う際に、関税や規制などの障壁を原則とり除き、経済の自由化や一体化を目的とした多角的な協定のことをいう。

TPPの母体は、ブルネイ・チリ・ニュージーランドシンガポールの4カ国(原加盟国。Pacific-4やP4ともいわれる)が2006年5月に成立させたFTA自由貿易協定)。
その後、アメリカ・オーストラリア・マレーシア・ベトナム・ペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わった。

さらにカナダ・メキシコも2011年11月に正式な加盟交渉に参加。経済政策を推し進める安倍首相が積極的に参加を表明した日本は、2013年4月に11カ国による交渉参加への支持が得られ、日本を含めた全12カ国が交渉することとなった。

12カ国を合わせた経済規模(GDP)は3,100兆円で世界全体の4割を、市場規模(人口の合計)は8億人で世界全体の1割を占めている。

その後困難な交渉を経て、2015年10月のアトランタ閣僚会合においてようやく大筋合意に至り、2016年2月に12カ国が署名、各国は国内手続きに入った。日本は12カ国の中で最も早く国内手続きを終了、他国に対しても国内手続の早期完了を粘り強く働きかけている。しかし、アメリカのトランプ大統領はTPPから離脱するための大統領令に署名、協定の発効にはアメリカの承認が欠かせないため、TPP発効のめどが立たなくなった。そのため、アメリカ抜きの新たな経済連携の可能性の模索や、2国間での貿易交渉へシフトするなど、今後の日本の通商戦略にも大きな影響を及ぼしている。


●スマートアグリ(Smart Agriculture)
スマートアグリは、ICT (情報通信技術)を積極的に導入した農業のこと。

状況を常にセンサーでチェックし、温度、湿度、養分などを自動調整する。
さらに、繊維状の土壌を使い、二酸化炭素や光量などもコントロール、完全自動化を目指した「植物工場」も出現している。

農作物を育てるには、絶えず天候や作物の状況を確認し、水や肥料などを適切に与える必要があり、これまでは農業従事者が経験と勘で判断していた。

スマートアグリの普及は、安定した生産が見込めるだけでなく、高齢化や農業従事者の減少といった課題にも対応できるとして期待が持たれている。


近大マグロ
近大マグロとは、近畿大学が世界で初めて成功した“完全養殖”のクロマグロのこと。
今では、百貨店や飲食店などで実際に食することができる。

マグロは世界各地で養殖されているが、多くは天然の幼魚(ヨコワ)を捕獲して生簀で育てる“畜養”という方法によって行われており、これでは従来のマグロ漁と同様に天然資源に依存していることに変わりない。

近畿大学は、古くからマグロ養殖の研究に取り組み、32年の歳月をかけてマグロを卵から人口孵化させて育てる“完全養殖”の技術を確立している。
天然資源に頼ることのない“完全養殖”の近大マグロは、各方面から高い注目を浴びている。


●農業の法人化
農業法人とは、法人形態によって農業を営む法人(団体に法律上の人格が与えられたもので、法律上の権利・義務の主体となることができる)の総称で、会社の形態をとる会社法人と、組合の形態をとる農事組合法人の2種類がある。

法人化のメリットとしては

・経営者としての自覚を持ち意識改革を促進する
・財務諸表の作成の義務化による金融機関や取引先からの信用力の向上
・幅広い人材(従業員)の確保による経営の多角化
・従業員の中から有能な後継者を確保できる可能性

などがある。

従来の家族経営による農家では、1人で何役もこなす必要があったが、法人化によってさまざまな経験を持つ幅広い人材を受け入れる仕組みが整うことで、“もうかる農業”への変革が期待されている。

どんな仕事があるの?

●研究開発
農作物や花、種子など、より丈夫で生産効率の高い品種に改良するために、原材料について研究・開発する。

●産地開発
土壌や水などを調査し、良質な農作物が収穫できる土地を探す。また、新しく栽培を始めるための土台を作ることも担う。

●食品管理
安全で安心できる食糧を消費者に提供するため、農作物や畜産物の品質を管理する。

●販売促進
「売れる」商品を調査・研究するため、市場のマーケティングや宣伝を企画・立案する。

●生産者
米や肉、野菜、花などを生産する、いわゆる農家や漁師など。