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化学・石油

 

[業界研究] 化学・石油

概要

主に石油などの原材料に、化学反応を利用した分解・合成・発酵などを加えることで新たな製品を製造し、幅広い産業に販売する化学・石油業界。
新興国との競争が激化する中、多角化を図る動きが活発になっている。
化学・石油業界
化学石油素材をメーカーに届ける

化学石油素材というと難しいが、簡単にいうとプラスチックや合成ゴム、合成繊維などのこと。

これらの化学石油素材は、コンピュータなどの液晶フィルムやペットボトル、洗剤、洋服や携帯電話など、生活に密着するあらゆる製品の材料として使われている。

そのため、プラスチック加工や繊維メーカーなど、その素材を必要とするメーカーに、素材を届けるのが石油化学会社の仕事だ。

ナフサ(ガソリンの1種)や天然ガスなどからプラスチックやゴムなどをつくる「石油化学」と、デジタル関連素材など付加価値の高い化学製品をつくる「機能性化学」に大きく分かれる。
需要、供給とも世界的に増加傾向にある化学・石油製品
2016年3月に公表された経済産業省の工業統計調査(産業別)によれば、国内の化学工業(医薬品を含む)と石油製品・石炭製品製造業を合わせた2014年の製造品出荷額は、46兆7,820億円と巨大で、これは輸送用機器製造業(60兆633億円)に次いで2番目に大きい規模だ。

ただし、人口減少や少子高齢化の影響もあって国内市場は頭打ち傾向にあり、主力のエチレンでは国内生産量の3~4割を、中国を中心とするアジア地域に輸出している。
そのため、為替や、アジア市況の影響によっては収益が大きく変動する。こうしたことも背景にあり国内での生産量は縮小、事業の統廃合や国内の製造拠点を停止して海外に移転するケースが相次いでいる。

経済産業省では、「世界の石油化学製品の今後の需給動向」を取りまとめている(2016年7月)。世界の石油化学製品を巡る状況として、世界的減退から持ち直し、特に中国、北中南米、インド、アセアンなどでは着実に伸びる一方で、欧州では需要減退の流れから脱し切れていない。
また、アジアの需要(特に中国とインド)が世界の総需要の4割を超えており、同市場が世界全体に与える影響は大きいとしている。

世界的には市場は拡大傾向にあるといえるが、中東、インド、中国、北米を中心に製造プラントの新設、増設が計画されており、生産力も大幅に増強されるため、引き続き厳しい競争が待ち構えている。今後は、グローバル展開や高付加価値品の強化という強みを活かすとともに、ハード・ソフトの両面から国内拠点のコスト競争力を向上させる取組みが求められている。
世界需要は年率3.7%で拡大するも生産能力の拡大もあり世界的には供給過剰状態
経済産業省の「世界の石油化学製品の需給動向(対象期間:2007~2020年)」によれば、石油化学製品の基礎原料であるエチレン系誘導品の需要量は、東アジアで鈍化傾向が見られるが引き続きアジアが世界需要の伸びを牽引する見通しで、2014年~2020年で年平均3.7%(2007年~2014年は年平均2.2%)を見込んでいる。2017年の世界需要は1億4,780万トン、2020年は1億6,270万トンと予測している。

こうした需要を見込んで、中東や中国に加えてインドなどで石油化学プラントの新設や増設が計画されている。世界的にはすでに供給過剰状態にあり、エチレン系誘導品では2017年で約1千万トン、2020年では約700万トンも供給過剰と予測されている。
ただし、地域によってバラツキがあり、中東では2千万トン以上もの供給過剰となる一方で、50近い化学プロジェクトが計画されている中国では稼動時期が遅れていることもあり、2千万トン以上の需要過剰と見込まれている。
原油価格に連動して大きく変動する原料ナフサの価格
日本の石油化学工業は、主な原料としてガソリンの一種である「ナフサ」を使用しており、その約6割をサウジアラビアUAE、韓国などから輸入している。
「ナフサ」の価格は基本的に原油価格と連動しているため、2007年以降の原油価格の急上昇時には、1キロリットル8万円台まで大幅に上昇した一方で、リーマンショック後の世界同時不況時には、同2万円台へ一気に下落している。

その後、世界経済の復調にあわせて石油価格が再度上昇、アジアでの旺盛な需要の盛り上がりに加え、中近東情勢の緊迫により2012年4月には同6万円台にまで上昇し、メーカーの中には製品価格の改定を余儀なくされたところもあった。

ところが、2014年の中頃から原油価格が急落。それまで、WTIで100ドル以上で取引されていた原油価格は2014年12月には50ドル台を記録し、2016年初頭には20ドル台まで下落した。
2014年は円安で輸入価格が上がったことなどから上昇し、同7万円台でスタートしたナフサ価格だが年末には同6万円台に下落。

2015年は、原油価格に連動し同4万円台での取引が続いたが、2016年は一時的に同3万円を割り込んでいる。2016年後半から原油価格が持ち直してきたこともあって、2017年に入ってからは同4万円前後での取引となっている。

このように原料価格の変動が激しく、各社とも収益の安定を図るためには「ナフサ」以外の原料を使う割合を高めることも必要だと考えており、そのための研究・努力を行っている。

WTI:ウエスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate)の略で、アメリカ南部のテキサス州ニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称。世界で産出される原油の1~2%程度だが、ニューヨーク・マーカンタイル取引所 (NYMEX) において取引が行われており、その価格は世界の原油価格に大きな影響を与える指標として知られている。
次世代向け素材の開発が注目される
今後、ニーズが高まりそうだと注目されているのは、太陽電池に欠かせないシリコンウエハー素材。

電池交換や配電線が必要なく、環境にも優しい太陽電池は、ますます需要が高まりつつあるため、化学石油業界では太陽電池向け素材の開発競争が激しくなっている。

また、地球温暖化や人口増加で世界的に水不足になっており、水処理膜を使った水の浄化技術も注目されている。この水処理膜素材向けに、化学石油業界は素材を提供している。

豆知識

シェールガス石油化学業界に及ぼす影響
シェールガスとは、泥土が堆積した頁岩(けつがん=シェール)層から採取する天然ガス
従来のガス田とは異なる場所から採れることから、非在来型天然ガスとも呼ばれる。

採掘が難しいので放置されてきたが、近年技術革新が進み低コストでの採取ができるようになり、低価格での天然ガス供給が可能となった(シェールガス革命)。

エネルギーとしてはもちろん、石油化学原料としての活用も期待されている。

業界に与える影響は大きく、主に米国から競争力の高い製品が流入してくるなどの脅威がある一方で、天然ガスへの転換が進むことで、液化石油ガスの余剰による原料コストの低減がはかれる、などのチャンスも指摘されている。

業界関連用語

●シリコンカーバイド
モリーチップやICなどの電子部品の製造に欠かせない半導体シリコンチップ。

微細加工技術の進化で高密度化してきたが、大幅な特性改善は限界に近づきつつある。

そのため、近年はシリコンカーバイド(シリコン=ケイ素と、カーバイド=炭素の化合物)を使った半導体の開発や研究に注目が集まっている。

従来のシリコン製品と比べると、高温にも耐え、損失も少ないことから、より一層の機器の小型・効率化が実現できる。

鉄道車両に採用すれば、大幅な省エネを実現できることも明らかになっており、エレクトロニクス機器の新たな領域を導く牽引役としての期待も大きい。


●吸水性ポリマー
自重の数百倍以上の高い水分保持性能を持つ高分子のことで、紙おむつや生理用品などの吸水材として多く使われている。

砂漠に設置した吸水材を使って植物を育てることも可能で、砂漠緑化の切り札としても注目された。

また、水を吸収することで膨張する性能を活かし、止水材として応用されている例もある。


●アクアマテリアル
東京大学の相田卓三教授らが開発した、98%が水でできている新素材。
固まると適度の硬度を持ち、型にはめて自由な形に加工することもできる。

また、アクアマテリアル同士を張り合わせると分子同士が接合するという特長もあり、様々な用途での活躍が期待されている。

従来のプラスチックは石油を原料に作られており、決して環境に優しいとはいえなかった。

アクアマテリアルが今すぐプラスチックに置き換わることは困難だが、環境に優しい素材として大いに注目をあびている。

どんな仕事があるの?

●営業
化学素材を、顧客である素材メーカーや卸会社に提案・販売する。

●資材調達/購買
各工場やプラントからのニーズをとりまとめて、国内外から原料や薬品を仕入れる。

●商品開発
既存商品を改善するほか、新商品の企画を立てて、試作や開発を行う。

●基礎研究
次世代向け製品に役立てるため、最先端技術の研究を行う。

●生産管理
スケジュールや計画を立てて、スムーズに生産できるよう手配をする。

●プラント/設備設計
製品をつくるための工場やプラントを、スタッフがスムーズに効率よく働けるように設計する。