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電力・ガス・エネルギー

 

[業界研究] 電力・ガス・エネルギー

概要

電力業界、ガス・エネルギー業界ともに、日常生活になくてはならないエネルギーを企業や家庭に届ける。
使いたいときにすぐに使えるよう、安定供給を第一に考えている。
また、環境にやさしい次世代エネルギーの開発にも取り組んでいる。

電力業界

電気を安定的に生産し、安定的に届ける

家庭で使う電球やエアコン、コンピューターのほか、企業や工場などで使われている電気を安定的に届けるのが、電力会社の仕事。

事業内容は大きく下記の4つに分けられる。

(1)発電:原子力、火力・水力・揚力などの電力を生産する
(2)送電:発電した電力を送電線で変電所まで送る
(3)配電:変電所から電力供給場所(工場、ビル、家庭など)まで配送する
(4)営業:電力の販売・サービスの提供
2016年4月1日より電力小売が全面自由化
電力事業は、主に国から認可を受けた電気事業者によって行われ、規制緩和が段階的に進んだ1990年代後半以降も、新規参入者のシェアは低いままだった。

安定供給を理由に既存の電力会社の独占が続いていたが、福島第一原発事故をきっかけに、電力供給の多様化や、自由競争による電気料金引き下げへの関心が高まり、電力業界は大きく様変わりをしようとしている。
2013年4月、政府は電力システムの改革を進める方針を閣議決定
発送電分離などを盛り込む電力の地域独占を見直す改革が本格的にスタートすることになった。

第1段階では、余った電力を足りない地域に融通するための「電力広域的運営推進機関」をつくり、第2段階では電力の小売りを家庭用などにも広げ全面自由化。
第3段階で電力会社の送配電部門を分社化し、送配電網をどの会社も公平に使えるように開放するとしている。

2016年4月には電力小売りの全面自由化がスタート。これをきっかけに、東京電力関西電力といった従来の大手電力会社だけでなく、原則として誰もが発電事業者になったり、小売電気事業者として電力販売を行えるようになった。

携帯電話会社やガス会社、総合商社などさまざまな業種の会社が小売電気事業者として参入し、携帯電話やガスとのセット割引やポイントサービスなど、昨今の多彩な暮らし方に合わせた多様な料金プランが登場している。
また、2020年4月には大手電力会社の発電部門と送配電部門を分ける“発送電分離”もスタートすることが決まっている。

東京電力では、“燃料・火力発電部門”、“送配電部門”、“小売部門”の3つの部門を2016年4月に分社化。持株会社である東京電力ホールディングスの傘下に入り、いち早く“発送電分離”をスタートしている。
関西電力も“発送電分離”に対応すべく、発電・送配電・小売の事業部門を2015年6月に再編・強化している。

他方、電気の安定供給上の懸念や対応が困難な点があるといった理由から、発送電分離を補完する仕組みやルールを慎重に整備していく必要があると考えている電力会社もあるが、今後は他の電力会社も対応を迫られることになる。
電力大手10社のうち、電力小売全面自由化1年目は7社の売上が減少、8社が減益
2016年4月に始まった電力小売の全面自由化。その影響が注目された電力会社の2016年度(2017年3月期)決算が出そろった。

大手電力会社10社の決算資料によると、北陸電力中国電力沖縄電力を除く7社の電力販売量が減少、なかでも北海道電力が前年度比6.2%減、関西電力が同4.7%減と落ち込みが大きかった。
また、営業利益では九州電力沖縄電力の2社を除く8社が減益となった。
景気回復の遅れによる産業用需要の減少に加え、電力小売全面自由化による競争激化、既存顧客が他社に契約を切替えたことなどが影響した。

資源エネルギー庁が2017年4月に発表した「電力小売全面自由化の進捗状況」によれば、2017年1月末時点で、一般家庭などの通常契約者が新電力(特定規模電気事業者)への契約先の切替えた(スイッチング)件数は約3.9%の約246万件。大手電力の自社内の契約の切替件数は約3.8%の約237万件で、合わせて約7.7%の約483万件となっている。

2016年5月以降、新電力への切替えは毎月約20万件程度、大手電力自社内の切替えも2016年8月以降は毎月10万件程度で安定的に推移している。
また、地域別で大手電力から新電力への切替えが多いのは、電力小売全面自由化の主戦場となった東京電力管内。

2016年3月時点の一般家庭などの通常契約口数全体の約6.1%を占める約140.6万件と最も多く、次いで関西電力管内が約4.9%の約49.7万件となっている。
一方で少なかったのは、中国電力管内の約0.3%(約1.1万件)、北陸電力管内の約0.9%(約1.2万件)、四国電力管内の約1.0%(約1.9万件)となっている。

電力小売全面自由化をきっかけにさらに大きくシェアを拡大する新電力などが登場してくる可能性がある一方で、厳しい競争によって電力会社間で吸収・合併が行われる可能性も否定できない。
再生可能エネルギーの普及を後押しする固定価格買い取り制度
原発事故の影響もありニーズが高まった再生可能エネルギーの普及を後押しする固定価格買い取り制度が2012年7月より始まった。
太陽光、バイオマス、風力、地熱、中小水力の5種類のエネルギーを対象に、発電方法に応じた値段で一定期間、固定価格で買い取られる。

財源は、電気利用者の電気料金へ上乗せされているが、買い取り価格がコストに見合っているかは、毎年見直しが義務づけられている。
この制度によりメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業に参入する企業が相次いだ。

豆知識

世界に広がる「デマンドレスポンス」
供給側(電力会社)の能力増強だけに頼らず、需要側(ユーザー)の消費量をコントロールして、需給バランスを一致させようという政策が「デマンドレスポンス」。

具体的には、電気を使えば使うほど料金が高くなるような設定にしたり、電気使用量の多い昼間の電気料金は高く、深夜は安くするといった時間帯別料金を設定するなどの方法がある。
供給側の対策よりも需要側の工夫の方が効果が高いとされ、世界的に広がっている。

業界関連用語

発送電分離
電力会社の送配電部門を分離すること。
送電分離は過去にも検討されてきたが、現在は発電部門と送電部門の会計を分けるのみとなっている。
今後、送配電部門を同グループ内で分社化することが検討されているが、英国では、発電と送電は資本関係のない別会社が行う独立性の高い運営が行われている。
送電線や配電網を電力大手以外にも使いやすくすることで新規参入が促進され、サービスの多様化、競争による価格の抑制、風力や太陽光な新エネルギーの普及につながると期待されている。

スマートグリッド
IT技術により送電をきめ細かく自動調整できる次世代送電網の総称。
これまでは発電所で集中的につくられた電気を一方的に送るだけであったが、IT技術により供給、受給側を制御することで電力を最適配分することが可能となる。
出力が安定しない再生エネルギーなどでは、電力が足りない場合のみ他電力から融通させる必要があるため、これを可能とするスマートグリッドが新エネルギーの普及をさせると期待されている。

スマートメーター
通信機能を持った次世代電力メーター。人力による検針作業が不要となる(コスト減につながる)ほか、ネットワークを通じて家庭内の電気機器と接続することで、必要な電力量をリアルタイムで把握できるため、全体の発電量を細かくコントロールするなど電力供給の最適化を図ることも期待されている。
どんな仕事があるの?
●営業
家庭や企業に対して、電気を利用する際の契約手続き、電気料金計算のほか、さまざまな問い合わせに答える。新しい電気設備を設置するための説明や提案を行うことも多い。文系出身者の大多数は、営業職を経て、企画職や管理部門など他部門へ異動するケースが多い。

●燃料調達
世界のエネルギー需要や為替動向などを見ながら、燃料を安定的に仕入れるための手配をする。

●技術(運転設備の管理保守)
電力を生み出す発電所(火力、原子力、水力など)が安全に動いているかどうか、設備が異常なく動いているかなどを点検し、将来的にも安全に動くための計画を立てたり、設備の修理や交換などを担当する。理系学部出身者の大多数は、この部門を経て、他部署に異動するケースが多い。

●送電/変電/配電管理
電力を送る「送電所」、送られてきた電力の変換をする「変電所」、変電所と顧客を結ぶ「配電設備」の安全を守るため、技術的な立場で点検やチェックをする。
ガス・エネルギー業界
ガス自由化で電力会社とガス会社の戦いは新たなステージに突入
家庭用、工業用に使われるガスには、天然ガスを原料とする都市ガスと液化石油ガス(LPG)を原料とするLPガス(プロパンガス)がある。
一般社団法人日本ガス協会が2016年9月にリリースした「都市ガス事業者の現状」によれば、都市ガス事業者数は203社、需要家(顧客件数)は2,833万件。
経済産業省の資料によれば、2016年3月末時点で国内のLPガス小売事業者は19,514社、LPガス世帯は約2,400万世帯となっている(日本LPガス協会調べ。16年3月末時点)。

都市ガス大手は、原料の調達、ガス製造、販売まで一貫した幅広い業務を行っており、海外のエネルギー事業を手がけている企業もある。
電力同様、段階的に規制が緩和されており、工業用や商業施設など大口向けの販売では自由化が進行。

さらに、2017年4月1日からは、家庭向けも含めたすべての小売市場が全面的に開放された。
電力小売全面自由化では、ガス会社系列の電力会社へ契約を切替えた世帯も多かったが、ガス小売全面自由化以降は電力会社系列のガス会社へ契約を切替える世帯も予想され、エネルギーを巡るさらなる競争の激化が始まった。
価格面を含めた魅力的なサービスの提供が求められている。
日本ガス協会によると、2016年度の都市ガス販売量実績は、前年度比3.4%増の377億100万立方メーターで、年間販売量は過去最高となった。

用途別では、冬季の気温が前年度と比べ低く推移した影響などで暖房や給湯需要が増加し、家庭用は前年度比1.8%増に、商業用についても暖房需要が増加し、前年度比1.4%増となった。
また、工業用については、顧客の設備の稼動増などにより前年度比4.2%増と好調だった。
再編により総合エネルギーグループ誕生
元売りとして原油を調達し精製、販売する石油業界は、1980年代の過当競争、1990年代の規制緩和などを受け再編が進み、企業数は1980年代の半数以上に集約されている。
2010年には、エネルギー事業、石油・天然ガス開発事業に加え、金属事業を行う総合エネルギーグループが誕生した。

ガソリンは今後、低燃費車の普及や少子化により需要減少が予想され、輸入品との競激が激化する可能性もある。
石油元売り5社は精製能力削減計画を策定し、供給過剰の解消に取り組み、より競争力のある高機能化学品など高付加価値品への生産転換を行っている。

電力自由化に続いて2017年4月からは都市ガス市場も全面自由化
ガス大手はLNG火力発電や、家庭向け小型コジェネレーション(熱電併給)システムで業績をあげ、今後の展望としても、政府の補助金制度が始まる産業向け大型コジェネレーションシステムの普及が見込まれている。

石油大手も、ガス会社と協力してLNG火力発電に参入。
電力の固定価格買取制度開始後は、製油設備の跡地など遊休地を活用した大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業に取組んでいる。

2016年4月1日から始まる電力全面自由化を機に、石油会社や鉄鋼会社、総合商社などが電力小売事業に参入。

また、ある意味で電気とはライバル関係にあるガス業界からも、大手、中小を問わず多くのガス会社が電力小売事業に参入、デュアル・フュエルと呼ばれるガスと電気のセット販売も登場している。

他方、都市ガス市場もかつての電力市場同様に、大手のガス会社が独占的に都市ガスの供給を行ってきた。

都市ガス市場でも、大口需要家を中心に徐々に市場が開放されてきたが、2017年4月1日からは電力自由化に続いて都市ガス市場でも小売りが全面的に自由化される。

また、ガス管網を管理する部門を完全に独立した別会社にして、すべての会社が同じ条件でガス管網を共用できるようにする「導管分離」(電力自由化発送電分離に相当)も2022年に実施されることが決まっている。

豆知識

期待が大きいメタンハイドレートの安定生産

メタンハイドレートとは、メタンガスと水の分子が混ざって固まったシャーベット状(氷状)の物質で、火をつけると燃え上がることから「燃える氷」ともいわれている。

ハイドレートとは「水和物」という意味で、そこには水分子が存在している。水分子はある圧力・温度でカゴ状の構造を作り、その中にさまざまな分子が入り込むことが知られており、カゴの中にメタン分子が入り込んだものが「メタンハイドレート」。
メタンと水が結びついて結晶化し、シャーベット状になっているだけなので、燃えた後には水が残るだけとなる。

また、メタンは石油や石炭と比較して燃焼時の二酸化炭素排出量が少ないため、化石燃料としての期待も大きい。
日本近海には、日本で消費される天然ガスの100年分に匹敵する量の「メタンハイドレート」があるともいわれており、2017年5月には、愛知・三重県沖合の水深1,000メートルの海底からさらに350メートルほど掘った地層にあるメタンハイドレートからガスを取り出すことに成功している。

実は同海域では4年前にもガスの取り出しに成功しているが、当時はガスを取り出すパイプに砂が交じるトラブルが発生し短期間で作業を中止している。
今回はパイプに特殊素材を巻きつけるなどの対策を講じ、1か月間連続でガスを取り出せるか調査することになっている。

この海域だけで国内の天然ガス使用量の10年分に相当するガスを含むメタンハイドレートがあると試算されており、安定的なガスの取り出しに成功するかどうかは実用化の大きなカギになる。
深海であることや、メタンハイドレートはシャーベット状であるためポンプで吸い上げる必要があるなど、現状では採掘コストが高く安定生産には課題も多いが、純国産エネルギーとしての活用が大いに期待されている。

業界関連用語

●ガスコジェネレーション
天然ガスから電力と熱を作り出すシステム。ガスエンジン方式、ガスタービン方式、燃料電池方式がある。
発電所と違い、電気が必要な場所に設置し発電するため送電ロスが発生しない、発電で発生した排熱を回収し、給湯、空調などに再利用できエネルギー節約につながるなど多くのメリットがある。
家庭用、産業用ともに普及が広まっている。

シェールガス
泥土が堆積した頁岩(けつがん=シェール)層から採取する天然ガスで、従来のガス田とは異なる場所から生産されることから、非在来型天然ガスとも呼ばれる。
採掘が難しいので放置されていたが、技術革新が進み低コストで採取できるようになり、天然ガスの低価格での供給が可能となった。
世界のエネルギー安全保障の枠組みを変える可能性があるともいわれ、シェールガス革命という言葉も話題になった。

エコウィル(ECO WILL)
家庭用のガスで自家発電を行い、そのときに発生する熱でお湯を沸かしたり、暖房したりすることができる、家庭用のガスコジェネレーションシステムのこと。
自宅で発電するため送電ロスが少なく、排熱を有効利用できエネルギー利用率が高いなどのメリットがある。
一方で、お湯をためるタンクを設置するスペースが必要だったり、太陽光発電と違って発電した電気を販売することはできないといった面もある。
どんな仕事があるの?
●営業
家庭や企業に対して、ガス利用のメリットやおすすめの設備などを提案するとともに、顧客からのさまざまな問い合わせに答える。

●営業支援
ガス供給の協力会社を支援する仕事。サービスの質を高めるための資料を作ったり、営業戦略を企画したり、イベントを支援するなど、営業を全面的にサポートする。

●研究開発
ガスの原料や発電の仕組み、ガス機器やシステムなど、ガスを安定的に届けるための研究や開発をする。

●設計
ガスが安全にかつ安定的に届くように、古くなったガス管を取り替えるため、そして新しく増えるガス管の設計をする。