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生保・損保

 

[業界研究] 生保・損保

概要

病気になったり死亡した時などに定められた保険料を支払うのが生命保険で、事故による損失を補てんするのが損害保険。

かつて保険会社は、生保を扱う「生命保険会社」と、損保を扱う「損害保険会社」、がん保険医療保険など「第3分野と呼ばれる保険を扱う保険会社」の3種類に明確に分かれていたが、現在は規制緩和が進み、互いの垣根はかなり低くなっている。
生命保険業
少子化や家計収入が増えない逆風のなか、個人保険を中心に保険契約数は増加傾向

働き手が急に死亡するなど万一の事態が起きた時、残された家族にとって大きな問題になるのがお金のこと。そうした経済的リスクを補うのが生命保険だ。

日本の生保業界はもともと遺族保護をメインに発展しており、世界有数の高い保険加入率が特徴だ。
一般社団法人生命保険協会が発表した「2016年版生命保険の動向」によれば、2015年度末の個人保険の保有契約高(死亡保障などの主要保障の金額)は、19年ぶりに前年度を上回って858兆円となった。
保有契約高は1996年度末の1,495兆円をピークに下落傾向にあり、近年は850兆円前後とおおむね横ばいで推移している。

一方で、個人保険の保有契約件数は1995年度末の1億3,071万件をピークに減少し、2003年度末には1億934万件まで下落したが、その後は上昇に転じ、2012年度末以降は過去最高を更新し続けて、2015年度末は1億6,011万件まで増加している。

理由としては、入院・手術保障のある契約や医療保険ガン保険の契約件数が順調に伸びていることがあり、いわゆる第3分野の保険に対するニーズの高さがうかがえる。
他方、個人保険の解約や失効が減少しているという面もある。

しかし、少子高齢化で生命保険への需要が落ち込んでいることは否定できない。
また、景気回復への明るい道筋が見通せず世帯の年収が目に見えて増えない状況では、保険料の負担が重くなっているのも事実だ。

そんななか、2015年度の収入保険料は、前年度比1.4%増の37兆7,481億円。一時払の新契約の増加を受けて、収入保険料は増加傾向にある。
保険種類別では、個人保険が前年度比4.3%増の25兆6,070億円、個人年金保険が同8.2%減の4兆7,298億円、団体保険が同0.5%増の1兆1,245 億円、団体年金保険が同9.3%増の4兆5,628億円と、個人年金保険を除き前年度より増加している。
規制緩和によって販売方法や商品が変化
現在、生保業界は規制緩和によって過渡期を迎えている。

1996年に保険業法が改正され、損保も子会社を作ることで生保に参入できるようになった。
2001年にはすべての保険会社でがん保険医療保険など第3分野と呼ばれる保険を扱えるようになった。
そして2007年12月22日には保険商品の銀行窓口販売が全面解禁になり、現在、各銀行はいくつかの保険会社と提携して、保険商品の販売代行を行っている。

また、かつて生保の販売は営業職員が家庭や職場を訪問して行うケースが一般的だったが、今ではインターネットや電話で簡単に加入できるものも増え、その形も次第に変わりつつある。
生保の株式会社化が始まる?
2010年4月に第一生命保険が株式会社に転換し上場した。
上場によって機動的な資金調達を通じてM&Aなどの成長戦略を加速する可能性もあるものの、市場から短期的な業績成果を求められるといったリスクもある。

人口減少で国内市場が減少するなか、今後、株式会社化を検討するところが増加しそうだ。

尚、生命保険会社にはもう1種類「相互会社」もある。
これは営利も公益も目的としない中間法人で、保険業法に基づいて設立され、保険業を行うことを目的とする社団であり、保険契約者を社員とする法人をいう。

「会社」と称するものの、社員に対して剰余金を分配することを目的とする法人ではないため、あくまでも非営利法人であり、営利法人としての会社ではない。
近年では株式会社化を目指す相互会社もある。

豆知識

一時払い終身保険
一時払い終身保険とは、契約時に保険金を一括払いすることで、保険期間が一生涯の終身保証を確保できる人気の保険商品。

まとまったお金が必要になるが、死亡保障が一生涯続き、定期預金や普通預金よりも利回りが高い場合が多いので、貯蓄手段の1つとして利用する人も多い(早期に解約すると元本割れする場合もあり)。

また、相続財産としての利用価値が高いことも人気の秘密。現金で相続する場合は、遺言書などで明確な指定がなければ遺産分割の対象になるが、生命保険は受取人固有の財産として分割の対象にならない。
そのため、財産を遺したい人に確実に遺せることや、死亡保証金として遺したときの投資効果もある。

なお、一時払い終身保険には「一時払い定額終身保険」、「一時払い外貨建て終身保険」、「一時払い積立利率変動型終身保険」など特長の異なるさまざまなタイプがある。

業界関連用語

●ソルベンシーマージン(支払い余力)比率
生命保険会社は、保険金の支払いなどに備えて責任準備金を積み立てているが、大災害や株価暴落など、予測を超えたリスクが発生する可能性もある。
そうした時に対応できる「支払い余力」を有しているかどうかを判断するために行政監督が指標の1つにするのがソルベンシーマージン比率だ。

この比率だけを見て経営の健全性を判断することはできないが、比率が200%を下回った場合、監督当局によって経営の健全性の回復を図るための措置がとられる。


●相互会社
保険会社だけに認められている形態。株主の利益優先が求められる株式会社とは違い、保険契約者を社員とみなすことで相互扶助の精神を生かした経営を行う。
しかし株式会社には、経営の透明性が高く合併や外部からの資金調達が簡単になるなどの利点があることから、近年は株式会社への転換を図る会社も増えている。
どんな仕事があるの?
●外務職員
各支店、営業所、代理店を基点として、個人保険の訪問販売を行う。

●営業管理
地域の支店や営業所、代理店の営業管理を行う。

アクチュアリー
高度な統計学的知識に基づき、保険会社が健全な経営を維持しつつ、加入者にとって適正な掛け金と支払い保険料が設定されるよう、数理的な裏付けを行う。

事務管理
営業が集めた保険加入者の情報をとりまとめる。保険証券の作成や契約事務、保険金や給付金の支払いのほか、医事審査や査定なども行う。
損害保険業
ちょっとした怪我から大きな自然災害まで幅広くカバーする損害保険

損害保険会社では、交通事故、火災、爆発、自然災害、海難事故など、さまざまな事故・災害による損害の補償を提供している。
補償(保険金の提供)は、契約者から集めた掛け金をさまざまな形で運用することと、再保険(多額の保険金の請求があっても対応できるよう、別の保険会社に加入して支払いリスクを分散させること)によって可能になる。

一般社団法人日本損害保険協会の「損害保険会社の平成27年度決算概況」によれば、2015年度決算で、正味収入保険料は、自動車保険・火災保険などの伸びもあり、前年度比3.4%(2,766億円)増の8兆3,597億円と、5期連続の増収となった。

一方で正味支払保険金は、2015年度に発生した台風などの国内自然災害による支払いが増加したが、2014年2月の雪害にかかわる支払い負担の解消や、自動車保険の事故件数の減少などもあり、前年度比0.8%(366億円)減の4兆5,689億円になった。
損害率(収入保険料に対する支払った保険金の割合)は正味収入保険料の増加と正味支払保険金の減少により、前年度比2.4ポイント減の59.9%となった。
廃業や合併で再編が進む「代理店」。1人当たりの生産性を高める施策が重要
損保の販売は「代理店」が行うのが一般的だが、国内の代理店数は減少傾向にある。
一般社団法人日本損害保険代理業協会の「事業報告および決算報告」(平成27年度)によれば、2003年度末には全国で32万3,139店あったが、統廃合による減少が続いており、2014年度末には20万4,990店と、10年間で約12万店もの減少となっている。

多くの損保会社が販売力の強化を目指して営業力のある代理店とのパイプを強くしていることもあり、今後ますます代理店の淘汰・再編が進んでいくと考えられる。
損保会社のなかには業務をスリム化する目的で、保険契約をオンライン化し、事務作業の軽減をはかるところもある。
3大損保グループ体制が始まる
厳しい経営状態が続いていた損保業界では、再編が進み、2010年4月には、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、NKSJホールディングス(現SOMPOホールディングス)の3大損保グループ体制になった。

基盤拡大の体制が整ったことで、今後は国内外でのM&A、海外市場への進出などを活発化させそうだ。少子高齢化で市場は縮小しているため、今後も各社の競争は激しくなるものと見られている。

豆知識

ペット保険
いまでは家族の一員として迎えられることも多いペット。
ペットがけがや病気をしたとき、病院でかかる治療費を補填するペット保険が注目を集めている。
欧米では一般的なペット保険だが、国内ではその普及はまだまだ遅れている。

富士経済の調査によれば、2015年12月末時点のペット保険契約件数は、106万5,000件。ペット保険の認知度が増したことや、獣医療技術が年々高度になることで治療費が高額化していることもあり、ペットオーナーによるペット保険への注目度は高まっている。
欧米と比較するとまだ認知度や保険加入率が低いこともあり、さらなる市場拡大が期待されている。

富士経済では、2017年12月末時点での契約件数を134万5,000件と予測している。
一般社団法人ペットフード協会によれば、2016年の犬・猫の飼育頭数は合わせて1,972万5,000頭。
ペット数に対する保険の加入率はまだ数%と言われており、50%近い加入率の国もある中、業界では、さらなる普及に期待している。

業界関連用語

●代理店 
保険会社と代理店委託契約を結び、保険販売を行うのが代理店。
代理店には、専業代理店と、自動車ディーラーや不動産業者、旅行代理店などが業務を兼ねる副業代理店がある。

再保険
保険会社が引き受けた保険金支払い責任の一部、または全部を、海外などの保険会社に保険料を支払うことでリスクを引き受けてもらうシステム。
自然災害や工場・ビル・飛行機事故が起きた場合、一社では保険金が払えなくなる可能性があるため、危険分散の方法の1つとして行われる。
なお、再保険を引き受けた保険会社が、自社の負担能力を超える分について、さらに他の保険会社に再保険することを、再々保険という。

●事業継続計画書(BCP
企業などにおいて事故や災害など危機的な状況が発生した場合、事業をできるだけ円滑に継続させ、さらに目標時間内に復旧させるための計画書。

どんな仕事があるの?

●運用
契約者から預かった保険料を、株式や債権の売買、土地などに活用して経営基盤の安定をはかる。

●査定
事故・災害が発生したときに、保険金をどれだけ払うか算出する。損害調査とも呼ばれる。

システム開発
保険料の振り込みに関わるシステムや代理店システムなどの開発を行う。

●検査
金融庁が定期的に行う検査に対応するとともに、自社内部の事務職についての監査も行う。