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自動車・輸送用機器

 

[業界研究] 自動車・輸送用機器

概要

車両、船舶、航空機などをまとめて輸送用機器と呼ぶ。

輸送用機器業界は日本が世界と伍して戦える産業の筆頭に挙げられ、これまで何度もの不況を乗り越えながら今も世界のトップレベルを維持し続けている。

輸送用機器業界の中で代表的なのは自動車業界で、完成車メーカーの下に数え切れないほどの下請け会社や系列会社があり、大きな雇用機会を作り出している。


自動車業界

世界に冠たる自動車産業大国

自動車業界は、日本が世界に誇る巨大産業だ。

国内には世界販売台数において首位をにらむメーカーを含む、複数の完成車メーカーがあり、それら完成車メーカーの下には部品・素材メーカーなどが多数、存在する。
また販売会社などの流通に関連する産業も関わっている。
自動車産業は、生産・販売・整備・輸送など広範な関連産業を持つ総合産業。

一般社団法人日本自動車工業会総務省労働力調査平成27年平均)」、経済産業省平成26年工業統計表」、「平成24年簡易延長産業連関表」などの資料をもとに作成したデータでは、直接・間接に従事する就業人口は529万人でわが国の全就業人口の8.3%を占めている。

2014年の製造品出荷額は全製造業の製造品出荷額の17.5%、約53兆3千億円もの規模があり、自動車産業は日本経済を支える重要な基幹産業といえよう。
ハイブリッドの環境対応車無人運行システムなど世界的に評価の高い日本の技術力を武器に、常に世界市場でシェア拡大を狙っている。 
販売台数の増加にともなって中国での自動車生産がさらに拡大
2009年、中国の自動車販売台数が米国を上回り、世界一の自動車大国の座が米国から中国に移った。
国際自動車工業連合会(OICA)の発表によれば、2016年の世界全体での乗用車とバス・トラックなどの商用車を加えた生産台数は9,498万台で、前年の9,078万台から420万台(4.6%)の増加と、堅調に推移している。

なかでも中国における生産台数は2,812万台で前年比14.5%増、中国1国だけで362万台もの増加となっている。
なお、日本での生産台数は前年から0.8%減の920万台となった。
つい数年前まで先進国に限られていた自動車産業の主要市場が、急激な速さで新興国にもシフトしている。

さらに近年は地球温暖化や石油価格の高騰などの問題により、各メーカーが相次いで電気自動車を発表。
市場だけでなく産業構造にも大きな変化の波が押し寄せている。
一般社団法人日本自動車工業会によると、日本の2015年自動車総輸出入額(円ベース)は、輸出総額、輸入総額とも前年に引き続き増加となった。

自動車関連の輸出額は、四輪車が前年比10.3%増と大きく伸びたが、部品・付属品は横ばい、二輪車は同7.3%減となった。合計では同7.5%増の15兆8,912億円となった。
また、自動車関連の輸入額は、部品・付属品が前年比7.6%増と伸びたが、四輪車は同1.9%減、二輪車は同5.3%減、合計では前年より1.6%増の2兆1,261億円となった。
電気自動車にとどまらず、SFの世界や未来の乗り物と考えられていた自動運転車の登場も近い
自動車業界にとっての重要テーマは、環境対策である。
現在日本では少子高齢化が問題となっているが、地球規模では爆発的な人口増加が続いている。

新興国の自動車普及率はまだまだ低いが、経済成長と歩調を合わせて販売台数は伸び続けるだろう。

そんななか、ハイブリッドカーの次を担う車として注目されているのが次世代電気自動車。
家庭用コンセントなどで充電してモーターで走る電気自動車は、ガソリンを必要としないため環境に優しく、そのうえ、燃費も現在の5分の1に抑えられるため各社とも開発を進めており、日本でも海外・国内メーカーが販売している。

また、かつては未来の乗り物だと考えられていた夢の自動走行車の普及も近付いている。
政府と自動車メーカーは2020年の実用化を表明。一定の条件下での走行となるが、日産やアウディのようにすでに独自の自動走行機能を搭載した自動車の発売している会社もある。


豆知識

チャデモ方式とコンボ方式
電気自動車(EV)の航続距離は年々改善されているが、現状では200km前後。

そのため、電気自動車の本格的な普及には街中で充電できる充電スポットの整備が欠かせない。

日本ではいち早く、EV用急速充電器の標準化とインフラ整備に取り組み、「チャデモ方式(CHAdeMO)」を推進している。

一方で、米国やドイツの自動車メーカーは、「コンボ方式」という別の規格を提案している。

現状では、米国や欧州も含め実際に設置が進んでいるのは「チャデモ方式」だが、中国も独自規格を模索しているとの報道もあり、主導権争いの行方が注目される。

充電器の規格争いが電気自動車の普及を妨げる事態は何としても避けなければならない。

なお、チャデモとは、“CHArge de MOve(充電で動く)”、“de(電気)”、“(充電中に)お茶でも”といった3つの意味が含まれている。
自動走行車
政府は、最先端の情報通信技術を活用して、渋滞緩和や交通事故の防止をはかる“高度道路交通システム”の実現を推進しており、中期的な戦略の1つとして“自動走行車”の普及を掲げている。
ただし、一言で自動走行といっても、システムの介入度に応じて以下の4段階のレベルに分かれている(「官民ITS構想・ロードマップ2016」より)。


レベル1:加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行う状態(安全運転支援システム)

レベル2:加速・操舵・制動のうち複数の操作を一度にシステムが行う状態(準自動走行システム)

レベル3:加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときのみドライバーが対応する状態(準自動走行システム)

レベル4:加速・操舵・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態(完全自動走行システム)


すでに数多くの自動車に導入が進んでいる「衝突被害軽減ブレーキ(衝突を事前に感知して運転者に警告を発したり、自動でブレーキ操作したりするシステム)」や、現在は高級車を中心に導入が進んでいる、高速道路などで車間距離を一定に保ちつつ前の車を自動追走する「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」は、前述の基準ではレベル1だが、日本の業界全体では、レベル2の技術の実用化がすでに進行している。

航空機の世界では、すでに高度な自動操縦システムが実用化され、着陸時も含めてほとんどの段階で自動操縦が可能となっている(離陸は操縦士が行います)。

政府や自動車メーカーが2020年の実用化を目指しているのは、レベル3に該当する、高速道路のような限られた条件下での自動走行だ。自動走行時のドライバーの役割は従来の運転ではなく、自動運転システムの監視となる。もちろん緊急時(システムから要請される)にはドライバーが即座に運転することになるが、渋滞時や深夜などドライバーにとってストレスや疲れがたまりやすい時間帯の運転から解放されるメリットは極めて高いといえよう。


業界関連用語

●自動車の燃費・排ガス規制
日米欧ともに二酸化炭素の排出量を規制するなど、今や環境規制は強化される一方だ。

2010年、欧州委員会が発表した「自動車の二酸化炭素排出量規制と造反企業への罰則規定」(後に2021年の完全実施に延期)は、日本を上回る世界でもっとも厳しい内容で、業界に激震を与えた。

これを機に日本のメーカーの技術革新にも拍車がかかることが予想される。これにともない欧州の自動車メーカーも電動車両の開発を加速した。

今後の自動車メーカーの動きとしては電動化へのシフトが鍵になるだろう。


バイオ燃料
植物が持つエネルギーを利用した燃料のこと。

原料の植物が生長する過程で大気中の二酸化炭素を吸収するため、二酸化炭素が結果的に相殺(カーボンニュートラル)されると考えられ、環境配慮型エネルギーとして注目を集めている。

過去にトウモロコや大豆などを原料とした結果、それらの価格高騰などの問題が起きたため、現在では藻やサボテン、材木の廃材や雑草などを原料とする第二世代の「セルロースエタノール」と呼ばれる燃料が主流となり研究が進められている。


エコカー減税
エコカー減税とは、国土交通省が定める排出ガスと燃費の基準をクリアした、環境性能にすぐれた自動車に対する減税措置のこと。この制度を利用すれば、エコカー減税の対象となる新車を購入した際に必要な「自動車取得税」と「自動車重量税」が減税、さらに、自動車の所有者に毎年課せられる自動車税軽自動車税)についても自動車グリーン税制により減税されていた。

2017年度税制改正エコカー減税制度は引き続き2年間延長されることになったが、従来は対象だったが税制改正で対象外になった自動車があったり、2017年度と2018年度で減税率が異なったり(2018年度のほうが減税率が低い)と、これまでよりもクリアすべき基準は厳しくなっている。

新しいエコカー減税は、自動車取得税については、2017年4月1日から2019年3月31日までの間に自動車を取得した場合、自動車重量税については、2017年5月1日から2019年4月30日までの間に新車新規登録した場合に適用される。


●自動走行車(ロボットカーや自動運転車とも)
ハンドルやアクセル、ブレーキなどを操作しなくても走行できる“自動走行車”。

現在自動車メーカーを中心に開発が進められている。

政府は、自動車技術やITを活用して、渋滞緩和や交通事故の防止をはかる“高度道路交通システム”の実現を推進しており、中期的な戦略の1つとして“自動走行車”の普及をかかげている。


どんな仕事があるの?

●営業
自動車販売店(ディーラー)への営業活動を行う。マーケティングを元に、販売店をサポートする。

●車両開発
新車両の設計や開発などを行う。部品ごとに専門特化した技術が求められる。

●デザイナー
自動車のインテリアやエクステリア、色、ファブリック類などをデザインする。

●商品企画
マーケティングを元にトレンドを予測し、商品戦略や新型車の企画立案を行う。
その他輸送用機器業界
世界的に新造受注が減少。しのぎを削っていた中国・韓国・日本3か国のシェアも大きく変化

輸送用機器業界

日本の造船重機メーカーは高度な技術力に定評があり、かつては世界シェアトップクラスを誇ったが、急速な円高や鋼材価格の高騰から新規造船の受注量で中国、韓国に大きく引き離されていた。しかし2014年から2015年にかけてようやく回復傾向に向かった。

一般社団法人日本造船工業会が発表した2016年9月版の「造船関係資料」にある「世界主要造船国別受注量の推移」によると、2013年に42.6%の世界シェアを占めていた中国の比率は、2014年が38.4%、2015年が32.3%と低下。

一方で、2013年に34.4%の世界シェアを占めていた韓国も、2014年は30.1%、2015年は30.2%と横ばい傾向にある。日本の世界シェアは2013年に13.4%にまで下落したが、2014年は23.7%、2015年は28.8%にまで巻き返し、造船の受注ではアジア3強の争いとなったかと見えた。

ところが、2016年1月~6月の中国の世界シェアは50.9%に急進、一方、日本は16.6%、韓国は12.8%と大きくシェアを落としている。受注した隻数こそ中国119、日本103と大差ないが(韓国は38)、世界シェアの基準となるトン数では中国の675万トンに対して、日本は221万トン、韓国は171万トンと大きく水をあけられる結果となった。
他方、隻数こそ9と少ないが、イタリアが108万トンを受注し8.1%のシェアを獲得している(昨年のシェアは0.2%)のは特筆すべきだ。

同会では、業界を取り巻く環境は厳しく、2016年、2017年の受注は依然として低水準な状況が続くと見ているが、2018年頃からの回復を見通している。各社は、国内事業の再編や業務提携を通じて、生産体制の効率化につながる構造改革に取り組んでいる。

近年は造船業界にも「エコ」が囁かれており、日本でも「エコシップ」なるものが各造船メーカーから開発されている。船の形を半球形にすることで風の抵抗を減らしCO2排出量を減らすもの、甲板に太陽光パネルを設置することで停泊中の電力をまかなうもの、また2030年をめどに太陽光や風力を利用する「スーパーエコシップ」の建造も計画されている。日本は再び世界シェアNo.1を奪取できるか、期待がかかる。
日本の船舶用機械メーカー製品が過半数を占める
造船業は、車などと違って一品ごとのオーダーメイド。基本的には注文を受けてから生産を開始する。

世界を航行する巨大な船は、エンジン、プロペラなどの船を進める機械、クレーンなどの荷物を運んだり下ろしたりする機械、レーダーなどの船を操縦し安全に航海するための機械など、大小200種類以上の機械でできていて、これらの機械メーカーが造船業を支えている。

日本の船舶用機械メーカーの商品は技術力の高さで定評があり、世界各国の船に使われている。
航空機業界でも評価が高い日本の技術。独自開発のジェット機も無事にテイクオフ
航空機業界は、数社の機体メーカーと、部品・材料メーカー、こうした材料を取扱う商社など、すべての会社を合計すると千数百社から構成されている。

巨額な資本を必要とする機体開発の分野では、リスクを抑えるため、海外や他メーカーとの共同開発が主流で、日本の企業も参加している。

日本の技術が特に高く評価されているのは、素材技術や構造設計などで、世界でもトップレベルにある。
一方、MRJホンダジェットといった自社開発の中小型旅客機の開発も進んでいる。

ホンダジェットは、2015年12月8日(米国東部時間)に米国連邦航空局(FAA)から型式証明を取得。2015年12月23日(同)には、顧客への引渡しを開始している。

MRJは、2015年11月11日に初飛行、機体や操縦系統、ソフトウエアなどの改修を行いつつ、飛行テストを繰り返している。すでに400機以上の受注を獲得しているが、残念ながら納期は再三再四送れており、現状では初号機の納入時期を2020年半ばとしている。
拡大を続ける宇宙産業
内閣府宇宙戦略室の資料によれば、世界の宇宙産業の市場は約13兆円で、毎年約14%の勢いで成長している。
特に自国で開発・打ち上げができない新興国で需要が拡大している。

日本は、人工衛星やロケットを独自に製造、運用できる能力を持つが、国家プロジェクトとして研究開発を加速させている米国を中心に、欧州、ロシア、中国との競争が激化している。


豆知識

世界に誇る技術が満載された画期的な「イプシロンロケット
高性能と低コストの両方を目指した、JAXAが開発した新しい個体燃料ロケット。

「モバイル管制」と呼ばれる革新的な打ち上げシステムを導入し、ロケット自身が知能を持っているかのように自分を点検する仕組みにより、特定の場所にしばられず、世界中のどこからでもネットワークにパソコンをつなぎさえすれば、ロケットのコントロールが可能になった。

小型の人工衛星を小回りよく高頻度で打ち上げることが期待されている。
明らかに日本の船なのになぜパナマ船籍
「便宜置籍船(べんぎちせきせん)」という言葉がある。通常船主は所有している船をどこかの国に登録する必要がある(船籍)。その際、船主の所在する国とは違う国に船籍を置く船のことを「便宜置籍船」と呼ぶ。
通常は、船を所有するためのペーパーカンパニーを置籍国に設立し、船をその会社の所有物にするという手段を取る。船の事故などのニュースで、明らかに日本の船と思われるのに、パナマ船籍リベリア船籍と報道されるのはそのためだ。

一般社団法人日本造船工業会が発表した2016年9月版「造船関係資料」によれば、2015年末現在の船籍国別シェアの上位はパナマ(17.9%)、リベリア(10.8%)、マーシャル諸島(10.0%)となっている。
一方で、実質船主国籍別シェアでは、ギリシャ(13.8%)、日本(13.2%)、中国(8.9%)となっている。

わざわざ海外に船籍を置く理由の1つは、登録税や法人税が安く済むということ。さらに、乗員の国籍が自由で、賃金の安いさまざまな国籍の乗員を雇用できるということがある。

例えば、日本船籍では一定数以上の日本人を雇用しなければならず、コストアップにつながるが、パナマ船籍であれば、そうした雇用に対する規制が緩いため安い給料の乗員で船を運航できるわけだ。
さらに、安全基準も緩やかで、船主にとっては自由度が高いというメリットがある。もちろん置籍国側にも、多数の大型船舶を登録することで多額の登録料を稼げるというメリットがある。


業界関連用語

●シップリサイクル
廃船の解体は、主に労働コストの低いインドやバングラデシュなどの国で行われている。

しかし、それらの国では作業時の安全の確保や環境保全が十分にされていないため、劣悪な労働環境や海洋汚染が問題になっている。

これらの問題を解決するため、現在、さまざまな国際機関において検討が進められている。

国際海事機関(IMO)では2003年、環境保全型シップリサイクル実現のために、船舶の建造から解撤までの各段階における必要な措置を定めた「IMOシップリサイクルガイドライン」(非強制)が採択された。


どんな仕事があるの?

●研究開発
先端技術や、他部署から挙げられる市場動向調査を研究し、製品の改良や新製品の開発を行う。

●設計
新技術を導入し、コスト、機能強化、信頼性など検討を重ね、製品の設計を行う。

●資源調達
原材料・部品を最も有利な条件で購入する。材料費は製造コストに大きく影響するため、利益に直結する仕事。

●営業
製品の受注から納入までを担当。顧客からの受注を受け、顧客と工場の間に立ち、さまざまな折衝や調整を行う。